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【コラム】卯月八日の、花祭りと天道花

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.14 》

卯の花旧暦の四月は、「卯の花(ウノハナ)」が咲く季節から「卯月(ウヅキ)」と呼ばれますが、ウツギ(空木) の枝先に群がるように咲く純白のウノハナは、新緑の中でひときわ目立ちます。

童謡『夏は来ぬ』の「♬卯の花の匂う垣根に〜」を思い出される方も多いと思います。初夏の歌で、現代の季節感とは少しばかり異なりますが、今日の新暦でも、四月を卯月と呼んでいます。

旧暦の卯月八日は、お釈迦様の誕生日で、新暦になっても4月8日を「花祭り」としてお祝いしています。キリストの誕生を祝うクリスマスとは違って、お釈迦様の誕生を祝う花祭りには馴染みがない方が多いかもしれませんが、花の季節にふさわしい花祭りにも親しんでみませんか。

花祭りお釈迦様が誕生したのは、現在のネパールにあるルンビニ(藍毘尼)の花園で、紀元前5世紀頃です。花祭りは、正式には灌仏会(かんぶつえ)、仏生会(ぶっしょくえ)花会式(はなえしき)などと称されて、この法会はインド、中国で広まり、日本では推古天皇14年(606年)4月8日から、花祭りの行事が始まったと『日本書紀』に書かれています。

多くの花々で飾られた花御堂の中に、釈迦の誕生仏を安置して甘茶をかけてお釈迦様の誕生をお祝いをする行事です。安置された誕生仏が天と地を指すポーズをしているのは、生まれてすぐにお釈迦様が7歩歩き「天上天下唯我独尊」と言われた姿なのです。天上天下唯我独尊とは、決して「自分一人が偉いのだ」、ではありません。生きとし生けるものすべての命が尊いといった意味などがあります。

また、誕生仏にかける甘茶は、砂糖を入れたお茶ではありません。ヤマアジサイの変種の「アマチャ」の葉を乾燥し、煎じてお茶にしたものが甘茶です。お茶そのものに強い甘みがありますが、カロリーはなく、花粉症やアレルギーなどの軽減、アンチエイジング作用などが期待できまるそうです。

天道花卯月八日には、仏事の「花祭り」(潅仏会)とは別に、作物の豊かな実りを願う農業儀礼が行われます。その一つに「天道花」(てんどうばな)があります。天道花には、神の籠もる山から豊かな実りを感じる花を持ち帰ることで、 田の神様が降りてくる依り代とする意味があります。躑躅や藤や石楠花、卯の花などを山から摘んできて、竹竿の先にくくり着け、家の門口や庭先などに立てる風習が各地に伝えられてきました。(左の写真は、天道神社神事より)

苗代つくりが始まる時節に山から田の神を里へと迎える意味があるとも、毒虫などがわき出る季節の魔除けのまじないであるとも説明がなされています。ヨーロッパの「メイ・ポール(五月柱)」とも通じる花柱の飾りは、興味深いものがあります。復活させたい「花の祭り」です。

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