NEWS SCHOOL 【コラム】12月 冬至とブッシュ・ド・ノエルとクリスマス 2024.11.19 《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.22 》 師走の12月。街のデコレーションはクリスマスツリーやイルミネーションに彩られ、一気にクリスマスムードとなり、あわただしい歳の瀬へと気持ちが向いてしまう日々です。「クリスマス」というワードを聞くだけで華やいだ気分になります。また12月は、二十四節気のひとつ「冬至」を迎えます。冬至と言えば柚子湯にかぼちゃですね。 でもクリスマスと冬至とは、日が近いというだけではなく、とても深いつながりがあります。クリスマスケーキと柚子湯とのつながりとは何?です。 冬至は、一年のなかで最も夜が長く、最も昼が短い日です。一年の中で昼が最も短いということは、冬至の翌日から日照時間が長くなっていくということです。この日を境に太陽の力が再び蘇る日とされ、古くから世界各地で冬至の祝祭が盛大に行われてきました。 * 北欧には、冬至のお祭りユール(スウェーデン語: jul、英語: yule)があります。古代ヨーロッパのゲルマン民族やヴァイキングの間で冬至の頃に行われたお祭りのことで、今日でもクリスマスのことをユールと呼んでいます。 ユールの祭りでは、森から大きな木を伐りだし、一族で家まで運び暖炉で根元からゆっくり燃やします。この薪には魔力があるとされ、冬至を境に太陽が夜の闇に勝るよう輝きを助ける薪とされていたのです。このユール・ログ(ユールの丸太)は、冬でも枯れない常緑樹の樫の木が使われ、大地に感謝をして翌年の豊作を祈ったのです。 樹木信仰が強かったドイツでも、キリスト教の勢力が強くなるに従い、ユール・ログの樫の木は、キリスト教の三位一体(父と子と精霊)の三角形を表わす「モミの木」へと替えられていきます。冬至の祭りユールは、クリスマスと融合して、モミの木がクリスマスツリーとして飾られるようになります。 ユール・ログの薪の風習は、中世以降にヨーロッパ各地に伝わり、12月25日の降誕祭(クリスマス)の朝に火をつけて、1月6日の公現祭まで「十二夜」を燃やし続ける風習となりましたが、19世紀に廃れてしまいました。この大きな丸太のユール・ログを象ったものが、クリスマスケーキの定番「ブッシュ・ド・ノエル」なのです。 * また、クリスマスツリーが初めて飾られたのは1419年、ドイツのフライブルクの精霊救貧院だと言われています。そしてクリスマスツリーは、19世紀にイギリスのヴィクトリア女王の夫であるアルバート王子によって紹介され、英国社会に広まり、次いで全世界に広まったとされています。クリスマスツリーを囲む ヴィクトリア女王一家の様子が描かれた記事が1848年にイギリスの新聞に掲載され(左図参照)王室の平和な家庭像が国民に広く紹介されました。 北欧で大切にされている冬至の祭りが、日本では柚子湯やかぼちゃを食す行事となり、それがクリスマスにも関わっていると思うと、なんとも世界の繋がりを感じます。では今年のクリスマスは、クリスマスの飾りと、ブッシュ・ド・ノエルを用意して、太陽への感謝に「一陽来復(いちようらいふく)」を願ってお過ごしください。 * ■クリスマスコレクション NEW OLD ツイート