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【コラム】紅葉の秋:野山が錦に染まり、誰もが詩人になれる秋

2023秋のシーズンコレクション

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.8 》

日に日に秋が深まってくると、街や森の木々が色づきはじめます。赤や黄色、橙色など、さまざまな色に葉を変化させて、私たちの目を楽しませてくれます。

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京都の紅葉「紅葉」は、野山の木の葉が赤や黄色に色づいていく様子を表す言葉で、そのような状態になっていくことを「もみいづる」「もみづる」とも言い、俳句などで季語として使われます。
一般的には赤くても黄色くても紅葉(こうよう)と表現しますが、正しくは赤色に色づくことを「紅葉(こうよう)」、黄色に色づくことを「黄葉(こうよう)」と言います。
それではなぜ、二つの色に分かれるのでしょうか?

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木の葉には「クロロフィル」という緑色の色素と「カロチノイド」という黄色の色素が含まれています。春と夏の日差しの良い日は、協力して光合成を行ないます。この時点では「クロロフィル(緑)」のほうが強いので、葉の色は緑です。そして、秋になり日差しが弱くなると、先に「クロロフィル(緑)」が分解さて、「カロチノイド(黄)」だけが残ります。葉の色は黄になり、これが黄葉です。

さらに、モミジなど紅葉する植物は、葉の中に糖分が増え、「アントシアン」という赤い色素が合成されます。葉の色は赤になり、これが紅葉です。さらに複雑な変化については、別の機会に。

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銀杏の黄葉日本は落葉広葉樹の種類が多く、赤色、黄色、黄褐色、オレンジ色など様々な色の紅葉を見ることが出来ます。紅葉する樹木として最も代表的なのは、葉が赤色になるイロハモミジ(イロハカエデ)です。

イロハモミジは日本各地に自生しており、また公園、庭園、寺社にも植えられてもいます。葉が黄色になる樹木ではイチョウが代表的です。日本では街路樹などでしばしば見かけますが、その落ち葉は黄金の絨毯のようです。葉が黄褐色になる樹木としては、日本の森林に多く自生しているコナラ、ブナ、アベマキなどがあります。

日本の森林には落葉樹とともに常緑樹も茂っているので、秋には緑色も加えた彩りを見ることができ、様々な色が混じり合った美しさが、日本の紅葉の魅力と言えます。
木々の葉の色鮮やかな秋の風景は、今も昔も変わらず人のこころをとらえますが、よくよく眺めてみると、紅葉は足下からはじまっていることに気づかされます。木々が色づくもっと前。夏も盛りを過ぎたころ、草たちが涼やかな風をうけて「一足お先に」とでも言いたげに、足下を錦の秋に変えてゆきます。写真を撮った尾瀬ヶ原などでは、目をみはるばかりです。

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尾瀬の草紅葉ひと雨ごとに色づきはじめた草紅葉(くさもみじ)が野の花に入り混じった景色は、ほのかにあわれを誘うのか、秋の野をいっそう美しく魅せてくれます。木々の紅葉とは違って、露をおいてゆっくり色づいてゆく草紅葉の姿には、ため息がもれるばかりです。

紅葉の散り際の儚い美に惹かれて、人は紅葉を愛でに足を運ぶのかもしれません。それは、春に桜を愛でるのにも似たこころのようにも思います。
四季の移ろいを感じられる国で、その移ろいを愛でる「心のゆとり」を持てることが、いかに幸せなことであるかを感じながら、この秋は「紅葉狩り」に出かけてみませんか?

『 古寺に 灯のともりたる 紅葉哉 』 (正岡子規)

秋のシーズンコレクション特集

レッド(赤)系のプリザーブドフラワー特集

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祝・2023年フラワー装飾技能士3級全員合格の快挙

2023年のフラワー装飾技能士3級の合格発表が先日あり、ベル・フルールでは26名全員が合格を果たしました。
年に1度しかない試験に向かって全力で駆け抜けた26名の皆様、本当におめでとうございます。
大人になってからの真剣な取り組みは、新たな自分の扉を開くことでしょう。
フラワーデザイナーへの一歩を踏み出した生徒様の声をお伝えいたします。
ベル・フルールでは、11月1日より2024年度国家検定受験生の募集を開始いたします。
フラワー装飾技能士は、一度取得すると永久ライセンスの国家資格です。
詳細はスクール事務局までお問合せください。

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【9.16~17】研究科コースで花束を制作

ベル・フルールでは、プロのデザイナーを目指す「研究科コース」があります。
各種資格試験に合格した生徒様向けに、デザイン理論の座学と実習を行います。

9月の研究科のテーマは『アシンメトリーの花束』でした。
難しいテーマではありますが、講義を理解しそれぞれ素晴らしい作品を制作されていました。

研究科のレッスンではいつも、学びへの熱い想いに溢れ、皆様デザインに集中されています。

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【9.13】『花時間』2023秋号に銀座本店と今野政代の作品掲載

2023年9月13日発売の、『花時間』2023年秋号(角川SSCムック)にベル・フルール銀座本店と弊社トップデザイナーの今野政代の作品が掲載されました。

「いま、花屋さんがおもしろい」内にてベル・フルール銀座本店を、「世にも美しきコサージュ」内にて今野政代の作品が計3点掲載されております。

今回は銀座本店にて使用できるお得なクーポンも付いております。

ぜひお手にとってご覧ください。

『花時間』2023秋号(角川SSCムック)

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【9.29】三越カルチャーサロン1dayレッスン開催

三越カルチャーサロン2023秋の1day作品

三越カルチャーサロン秋の1dayレッスン開催のご案内です。
入会金不要で、1日だけの短期講座を受講いただけます。
作品は人気のガラスドームのアレンジメントを、カルチャーサロン限定の配色にいたしました。
トップデザイナー・今野亮平が丁寧にレクチャーいたしますので、初心者の方も経験者の方も楽しめる内容になっております。
現在お申し込み受付中です。

■場所:新館9階三越カルチャーサロン
■日時:2023年9月29日(金)午後2時~4時
■講師:今野亮平(フラワーデザイナー)
■持ち物:作品お持ち帰り用袋
■サイズ:W15×D15×H15cm

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■お申し込み方法:三越カルチャーサロンのオンラインのみの受付
「今野亮平プリザーブドフラワーレッスン」のお申し込みページはこちら

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【コラム】あなたを見守ってくれる方々に感謝する日

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.7 》

夏服の肌にも、初秋を感じはじめる九月中旬の祭日は、何の日でしょう?そうです、多くある祭日の中でもわりと地味な祭日が、敬老の日かもしれません。現代では、感謝の対象になる「お年寄り」が身近に居ないせいかもしれません。

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メッセージ敬老の日は、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを目的として、昭和23年(1948年)に9月15日を敬老の日として定められました。9月15日としたのには、いくつか説があります。

一つ目は敬老会の開催日が9月15日だったから。二つ目は、聖徳太子が大阪の四天王寺に悲田院を建立した日で、悲田院が現在の老人福祉施設のような場所だったため、敬老の日にふさわしいという説。 三つ目は、717年に元正天皇が養老の滝に御幸した(訪れた)日という説です。

いずれにしても老人を敬う日からです。しかし平成15年(2003年)にハッピーマンデー制度(一部の祝日を従来の日から特定の月曜日に移動させる制度)が導入され、敬老の日も「9月の第3月曜日」となり、今年は9月18日が、その日なのです。

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ロサケンティフォーリア敬老の日も、母の日や父の日と同様に、「感謝を表すプレゼント」が行われますが、この日ばかりは、誰から誰にプレゼントを渡すとかが決まってはいません。一般的には、孫から祖父母にプレゼントをあげることが多いようですが、自分の成長を見守ってくれていたご近所のご老人や先輩なども対象にして良いのではないかと思います。

ここで悩むのが、感謝のプレゼントの品です。お孫さんがいる方は「お孫さんが描いてくれた似顔絵やありがとう」が最高のプレゼントですが、親御さんや祖父母へは、やはり「花束」が喜ばれるのではないでしょうか。

花には「花言葉」と「文化背景」という「無口な多弁」という素晴らしいアイテムが備わっています。多くの感謝の言葉を並べなくても、気持ちを伝えてくれる花のアイテムを利用しましょう。

まずは「敬う」という花言葉をもつ花たちは、白バラ、ムクゲ、木苺など何種類もありますが、なかでもモスローズのロサ・ケンティフォリアがお勧めです。上の写真のように、八重咲のオールドローズで、17世紀にフランドルからフランスに渡っていったバラです。このバラの花言葉には、「崇拝」と「尊敬」という言葉があります。「崇拝」や「尊敬」は、親御さん祖父母、先生や先輩など、目上の人達に贈ると良い花言葉です。

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マリー・アントワネットこのロサ・ケンティフォリアは、ロココ絵画に描かれている文化背景があります。皆さんも一度は目にしたことがあると思いますが、《モスリンのシュミーズドレスを着た王妃マリー・アントワネット》(1783年、ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵)です。描いたのは美貌の女流画家ルイーズ・ヴィジェ・ルブランです。

絵の中で手にしているバラと背景に描かれているバラも、ケンティフォリアだと言われています。バラの茎にリボンを巻いている手先が、興味深いですね。

私は、ロサ・ケンティフォリアを小さな花束にして、マリー・アントワネットの絵ハガキの余白にメッセージを添えて、感謝の気持ちをバラ好きの祖母に贈ることにいたします。

パープル(紫)系のプリザーブドフラワー特集

敬老の日ギフト特集

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ベル・フルール銀座本店グランドオープン時のドキュメント番組が公開

花時間2023に作品掲載

2023年4月にグランドオープンした銀座本店のオープニングを密着した番組「Create the bridge~お花を通してデザインを提供する~」がカウテレビジョンのYotubeチャンネルにて公開されました。
弊社代表取締役社長 今野亮平のインタビューだけでなく、弊社代表取締役会長 今野政代のインタビューを含めた、これからのベル・フルールについて紹介いただいております。
ベル・フルールについて、より知っていただける内容となっておりますので、ぜひご覧ください。

また、実績ライブラリに「ベル・フルール銀座本店・銀座校」の記事をアップいたしました。

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ベル・フルール銀座本店・銀座校 移転グランドオープン

2023年4月28日(金)、「ベル・フルール銀座本店・銀座校」が15周年を機に移転し、新たな店舗をグランドオープンいたしました。

新店舗のテーマは「ラグジュアリーホテル」。
上質な空間で温もりあるホスピタリティをさらに進化させ、心地よい体験をご提供いたします。

1階のプリザーブドフラワー専門店ではお祝いや記念日のギフト販売のほか、ホーム・オフィス・ショップ等のインテリア装飾をオーダーメイドでご提案するサービス「Maison Belles Fleurs(メゾン ベル・フルール)」も新たに展開いたします。

2階のフラワースクールでは、ライフスタイルを彩る趣味から資格取得まで、本格的なレッスンを楽しんでいただけます。面積も広がり、よりゆったりとしたスペースで、多くの方にご予約いただけるようになります。

■住所:〒104-0061 東京都中央区銀座1丁目20−11/1・2F

■グランドオープン時のドキュメントMovie「Create the bridge~お花を通してデザインを提供する~」をぜひご覧ください。

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有限会社エムズシステムYouTubeにて対談動画公開中

エムズシステムYouTube
エムズシステムYouTube
エムズシステムYouTube
エムズシステムYouTube

弊社代表取締役社長今野亮平が、有限会社エムズシステム代表取締役三浦光仁様との対談動画が有限会社エムズシステム様のYouTubeにて公開中です。
「苔と空間、建築物と音の融合」のテーマで対談しております。
エムズシステム様のスピーカーは、ベル・フルール銀座本店で採用させていただきました。
包まれるような唯一無二の音響システムを、ぜひ銀座本店でも体験ください。


◾️エムズシステムYouTubeはこちら

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【8.16〜発売】2023秋のシーズンコレクション”Bright” 予約開始

2023秋のシーズンコレクション
2023秋のシーズンコレクション
2023秋のシーズンコレクション
2023秋のシーズンコレクション
2023秋のシーズンコレクション
2023秋のシーズンコレクション
2023秋のシーズンコレクション
2023秋のシーズンコレクション

豊かな四季を表現した「シーズン限定コレクション」は春夏秋冬に合わせてベル・フルールが「今」だけのデザインをご提案いたします。すべて数量限定のプレミアムな商品です。

2023秋のテーマは「Bright(ブライト:輝き)」。
世界的なオートクチュールファッションでも取り入れられている、今季のトレンドカラー「リッチイエロー/パワフルレッド/エレガントブラック」をフラワーデザインに落とし込み、モダンにアレンジしたコレクションです。プリザーブドフラワーの美しい色合いがシックな秋のインテリアの中で輝くような明るさをもたらしてくれます。

■8月2日(水)よりオンラインストア・店頭にて予約を承ります。

■リッチイエローの商品:8月16日(水)より
■パワフルレッドの商品:9月13日(水)より
順次店頭・ECでの発売(お届け指定可能)

■秋のシーズンコレクション詳細はこちら

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『家庭画報 9月号』でベル・フルール銀座本店紹介

家庭画報2023年9月号
家庭画報2023年9月号

2023年8月1日発売の『家庭画報 9月号』の巻頭連載「EDITOR’S REPORT」ページ内にてベル・フルール銀座本店が掲載されました。
ぜひご覧ください。

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【8.4〜】ワクワク夏のキッズセミナー2023開催

夏のキッズセミナー
夏のキッズセミナー
夏のキッズセミナー
2022夏のキッズセミナー

毎年大好評!ベル・フルールフラワーデザインスクールが開催するお子様向け1dayレッスン「キッズセミナー」のご案内です。
今年は大人気の「グランピング」をテーマにお花や枝などを組み合わせ、あなたオリジナルの「グランピングフラワー」を作りましょう。夏休みの自由研究にもぴったり。5歳以上ならどなたでも楽しくご参加いただけます。講師が丁寧にレクチャーいたしますので、初めての方でも安心してご参加ください。

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また、キッズセミナーをお申込みの親御さま限定で、通常4,000円(税別)の体験レッスンを特別価格3,000円(税別)にてご参加いただけます。お子様と一緒にレッスンを楽しんでみませんか?
プリザーブドフラワー/アーティフィシャルフラワーいずれかひとつお選びください。

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■ワクワク夏のキッズセミナー2023
>>お申し込みはこちらから
親御さまの体験レッスンも上記から同時にお申し込みいただけます。

■TEL、MAILでもご予約、お問い合わせを承ります。
03-6905-8080/school@belles-fleurs.com

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■作品:「グランピングフラワー」
■サイズ:高さ34×幅28×奥行き20cm(参考)
■参加費 : おひとり 5,000円(税別)
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■ベル・フルール常盤台校
開催日:8月10日(木)・8月20日(日)
時間(各日): [1] 10:30~ [2] 13:30~

[住所] >>MAP
〒174-0063 東京都板橋区前野町2-19-1 ACビル
東武東上線 ときわ台駅 北口から徒歩10分
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■ベル・フルール銀座校
開催日:8月4日(金)・8月23日(水)
時間(各日): [1] 10:30~ [2] 13:30~

[住所] >>MAP
〒104-0061 東京都中央区銀座1-20-11 1F/2F
東京メトロ有楽町線 銀座一丁目駅 A10出口から徒歩3分
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【コラム】懐かしい人に出会う夏、お盆

蓮の蕾を使った仏花

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.6 》

「盆と正月が」という言葉があるように、「お盆」と「お正月」は、古来一年の二大イベントでした。

夏行事左のイラストのように、夏はお正月と同じくらい多くの行事があり、夏祭りや盆踊り花火大会などの中心にお盆があります。

お盆の起源は明確には分かっていませんが、1年に2度、初春と初秋の満月の日に祖先の霊が子孫のもとを訪れて交流するという昔からの日本の祖霊信仰が、初春のものが正月となり、初秋のものが仏教の盂蘭盆(うらぼん)と習合して、お盆なったと言われています。

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またお盆の行事は、中国の道教の行事とも関係があり、旧暦(太陰暦)の7月15日の「中元節(ちゅうげんせつ)」の祝いがあり、それが「お中元」の由来にもなっています。

ところが明治時代に新暦(太陽暦、グレゴリオ暦)が採用され、日本の行事は季節感が多少ズレてしまいました。「お盆」の期間(の中心)も例外ではなく、地域によって大きく3つに分かれました。
1.旧暦7月13日~15日(旧盆)・・・沖縄地方など(今年は8月28日~30日が旧盆にあたる)
2.新暦7月13日~16日(新盆)・・・東京、横浜、静岡など
3.新暦8月13日~16日(旧盆・月遅れの盆)・・・その他の多くの地域

あなたのお家のお盆は、旧暦?新暦?それとも八月盆の新暦でしょうか。どの暦のお盆でも、可愛いお供えが置かれます。そう、キュウリとナスの動物です。

キュウリ馬、ナス牛このキュウリとナスの動物は、故人やご先祖様の霊が家に戻ってくる際、行き来する乗り物として作ります。霊が戻って来られる時にはキュウリの馬に乗って一刻も早く家に帰って来てもらい、帰る時にはナスの牛に乗って景色を楽しみながらゆっくりと帰ってもらいたい、という願いが込められているのです。
一般的に、キュウリで作った馬のことを「精霊馬(しょうりょううま)」、ナスで作った牛のことを「精霊牛(しょうりょううし)」と呼んでいます。

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蓮の花もうひとつ、お盆に欠かせない花に蓮(ハス)があります。よく似た花にモネが描いた睡蓮がありますが、蓮はハス科ハス属、睡蓮はスイレン科スイレン属で違う植物です。簡単な見分け方は、花が水面より上の方で咲くのが蓮で、水面に浮くように咲くのが睡蓮です。

蓮と仏教には深いつながりがあります。「蓮は泥より出でて泥にまみれず」ということわざが表すように、泥(俗世)に生まれても大輪の蓮華(悟り)を咲かせる蓮は、欲にまみれることなく真っ直ぐに清らかに生きる人間の理想の姿として、仏教の世界で「極楽浄土に咲く最上の花」とされたのです。

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蓮の花と極楽浄土を描いた、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を読んでみましょう。

「ある日の事でございます。御釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂が、絶間なくあたりへ溢れて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。」

さてお盆には、故人やご先祖様たちから、蓮の花咲く極楽のお話を聞かせてもらいましょう。

プリザーブドフラワーの仏花特集

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【6.22】『経済界』にベル・フルール銀座本店・銀座校の記事掲載

経済界2023年8月号に掲載

経営者の人物像に迫り、企業を分析する経済誌『経済界』2023年8月号(発売日2023年06月22日)に先日リニューアル・グランドオープンした、「ベル・フルール銀座本店・銀座校」についての取材記事が掲載されました。

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【コラム】浅間山の草原の風、軽井沢

グリーンのプリザーブドフラワー

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.5 》

長雨の梅雨が明けると、コンクリートとガラスに囲まれた都会では、夏の日差しの暑さに逃げ出したいほどです。そんな時に高層ビルの間からのぞいた入道雲を見て、避暑地の軽井沢を思い浮かべます。浅間山の山麓、草原とカラマツ林を抜けてくる風を心に感じてしまいます。

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軽井沢は、日本全国に幾つもある避暑地と多少イメージが違う気がしませんか?それは軽井沢の避暑地としての成り立ちにあるようです。

万平ホテル軽井沢の避暑地としてのスタートは1886年(明治19年)、カナダ生まれの宣教師A・C・ショー氏が訪れ、その清澄な自然と気候に感嘆し、明治21年には旧軽井沢の大塚山に簡素な別荘を建て、ショー氏の友人の宣教師たちの別荘が年を追って建ち始めました。

避暑地軽井沢の初期は外国人宣教師やその家族が大半であり、必然的にキリスト教的風潮の強い町となり、西欧の風も吹き抜けるような軽井沢独特のイメージを育んできたのでしょう。

現在では、観光地やショッピングの町として有名になっていますが、人波からふっと横道に入ると昔の静寂な軽井沢に出会える場所もあります。

まずは、万平ホテル。江戸時代から外国人ゲストをもてなしてきた旅籠「亀屋」を、欧米風のホテルに改装オープンしたのが明治27年(1894年)。日本における西洋式ホテルの草分けのひとつで、ここを舞台にさまざまな歴史の1ページが刻まれてきました。ジョン・レノン直伝のロイヤルミルクティーは、あまりにも有名な話のメニューです。

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幸福の谷軽井沢には、芥川龍之介、室生犀星、川端康成などの多くの作家が避暑や文筆のために訪れていますが、特に堀辰雄は自筆の小説の中で軽井沢の情景を描いています。

「私の借りた小屋は 、その村からすこし北へはひつた、或る小さな谷にあつて、そこいらには古くから外人たちの別荘があちこちに立つてゐる。(中略)外人たちがこの谷を称して幸福の谷と云つてゐるとか。」(『風立ちぬ』より)。

軽井沢万平ホテル裏手の別荘地帯にある、小さな谷が幸福の谷。幸福の谷(ハッピーバレイ)の命名者は、この谷に初めに別荘を構えた宣教師たちで、現在も閑静な別荘地帯なため、案内板もありません。
カラマツ林のなか、苔むした石垣と石畳が続き、夏でもひんやりとして、凛とした空気が漂っています。

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アサマキスゲ軽井沢の特別な話。
小学校5年生の時に、軽井沢で疎開生活を送られた正田美智子さん、つまり現在の上皇后陛下も、かつての「軽井沢風景」に心を寄せられています。

平成14年に発表された御歌『かの町の野に もとめ見し 夕すげの 月の色して 咲きゐたりしが』は、レモンイエローの美しい花「アサマキスゲ」の、その後の様子に想いをはせて詠まれたものです。

その翌年、13年ぶりに訪れた軽井沢町植物園で、自然のままに咲く姿に安堵され、「末永く残されるように…」と、30年間皇居で大切に育てられてきた種子12,000粒を、名誉園長・佐藤邦雄氏に託されたそうです。
このアサマキスゲが、立原道造の第一詩集『萱草に寄す』の「萱草(わすれぐさ)」のことです。

軽井沢をめぐると、あまりに多くの堀辰雄を中心とした文筆家の人生の足跡が見えてきます。

小説『風立ちぬ』の作中にある詩句、「風立ちぬ、いざ生きめやも」が、今でも軽井沢と信濃追分に若い人たちの足を向かわせるのでしょうか。

グリーン(緑)系のプリザーブドフラワー特集
苔のプリザーブドフラワー特集